よく「ITパスポートは簡単」と言われるが、勉強せずとも受かるものなのか?
しっかり対策すればきっと合格できるけど、舐めてかかると痛い目に合うだろうね
こんにちは、梯はしこです。
巷でよく聞く(?)こんな声。
- ITパスポートの難易度が上がった…難しくてIT初心者にはきつい
- ITパスポートなんて誰でも合格できるよ。持っていても意味なんてない
私の個人的な意見としては
といったところ。
激むずではないけれど、誰でも合格できるような代物でもありません。
本記事では、ITパスポートの難易度について統計情報を用いて分析しつつ、過去に私が受験したときのスペックや学習方法(反面教師として…)を語ってみたいと思います。
ITパスポートの10年間の合格率とそこからわかること
ITパスポート主催元のIPAの公式サイトでは、合格率などの統計情報が詳しく掲載されています。
ここでは、平成25年度から令和4年度までの合格率の推移を見ていきましょう。
IT系 | 非IT系 | 学生 | 全体 | |
平成25年度 | 56.9% | 60.8% | 34.0% | 47.6% |
平成26年度 | 54.4% | 59.8% | 35.8% | 47.9% |
平成27年度 | 53.7% | 59.7% | 35.6% | 47.4% |
平成28年度 | 54.1% | 60.4% | 36.7% | 48.3% |
平成29年度 | 56.9% | 62.8% | 38.0% | 50.4% |
平成30年度 | 56.8% | 64.6% | 38.4% | 51.7% |
令和元年度 | 58.9% | 65.2% | 41.4% | 54.3% |
令和2年度 | 59.5% | 66.9% | 47.9% | 58.8% |
令和3年度 | 52.9% | 58.4% | 41.2% | 52.7% |
令和4年度 | 52.6% | 55.4% | 40.0% | 51.6% |
平均 | 55.6% | 61.4% | 38.9% | 51.0% |
ここからわかることは次の通り。
- 全体の平均は約51%。2人に1人が合格する計算
- IT系職種の人よりも非IT系職種の人のほうが合格率が高い
- 社会人経験があったほうが有利かも?
順番に見ていきましょう。
合格率は約50%!合格不合格はちょうど半々という難易度
さて、本記事のテーマは「ITパスポートの難易度はどれくらいか?」というもの。
合格率を根拠とした回答は、
という非常にふんわりしたものになってしまいます。
もちろん受験者によって勉強時間やもともと持っているIT知識などが異なるため、合格率だけで難易度を判断することはできませんが、少なくとも次のように考えられそうです。
- 国家資格のわりに「超難関!」ってほどでもない。IT未経験でも短期間で一発合格を狙える資格!
- でも舐めてかかれば普通に落ちる。「誰でも合格できるから意味がない」「ノー勉でも余裕」というのは信じないほうが良さそう
実は非IT系職種のほうが合格率が高い!?
先ほど示した合格率の表を見ると、どの年度もIT系職種の合格率より非IT系職種の合格率のほうが高いという結果でした。
これにはさまざまな要因が考えられます。
- IT系職種、学生は会社や学校に言われたから渋々受験した層が一定数いるはず
- 反対に非IT系職種の人は自分で考えて受験している人が多そう→学習意欲が高く、しっかり試験対策している人が多いのでは
- 受験時に「IT系職種」ではなかっただけで、業務経験はある
- ITが好き→ITが「好き」な人はITが「仕事」の人よりもずっと強い
などなど。
全員が「IT初心者」「IT未経験」であるわけではないと思いますが、そういう人も「非IT系」の受験者に含まれているはず。
それでも合格率がIT系職種の人よりも高いということは、「IT初心者」「IT未経験」の人たちが合格率を下げているわけではないということ。
ITパスポートは社会人のほうが有利?
先ほどの表には、社会人(IT系職種・非IT系職種)のほかに、学生の合格率も記載いたしました。社会人と比べるとやや合格率が低いようですが、何を隠そうこの合格率は大学院生~小・中学生まで含まれています。
おそらく商業高校の学生さんとか強制的に受験させられているものと思われますな
そのため合格率だけで「社会人のほうが合格率が高いので、社会人経験はあったほうが良いのだな」と判断することは早計かもしれません。
とは言え、社会人経験があったほうがイメージしやすい問題も多々あります。(これは実際に受験してみて思ったことですが)
マネジメント分野やストラテジ分野は、企業活動の中に身を置いた経験があれば、感覚で解けるような問題も。いわゆる常識問題というやつですね。
社会人経験なしのニートでも、1か月ほどみっちり勉強したおかげで一発合格できました。ただ、「ノー勉でも余裕」という意見は、社会人経験なしニートは右から左に流しましょう。
私がITパスポートに合格したときのスペックと勉強方法(反面教師)
統計情報と私の経験からITパスポートの難易度について、結論を出します。
- 2人に1人が受かる試験であり、2人に1人が落ちる試験
- IT初心者、IT未経験でもまったく問題なし
- 社会人経験があったほうが有利かもだけど、社会人経験なしニートでもなんとかなる(なんとかなった)
ここでは、先ほどからちょこちょこ書かせてもらっていますが、私の受験時のスペックと勉強方法などについて記載したいと思います。
という一例として、参考になれば幸いです。
受験時のスペック
- 社会人経験なしのニート
- IT知識ほぼなし→「サーバー」がなんたるものかわからなかった
- 職業訓練校に通い始めて1か月ほど
- 職業訓練校で基本情報技術者試験の参考書に沿って要点だけ授業を受ける(1週間くらい)
- ITパスポートの参考書1冊と問題集1冊で勉強
- コミュ障すぎて職業訓練校の先生に質問したくてもできず、授業以外は独学
- 令和元年の試験で一発合格
当時のスペックはこんな感じでした。
職業訓練校に通い始めてから受験したので完全なる独学ではありませんが、ITパスポートの試験範囲と内容がかぶる授業期間は1週間くらいだったので、ほぼ独学と言っても差し支えないかと。
自分で参考書を買ってきて勉強したのですが、当時は神サイト「過去問道場」を知らず。問題演習がしたくて、問題集を別途購入しました。
問題集については、詳しくは後述します。
令和元年の秋、初受験。
630点くらいで合格でした。(合格点は600点。奇跡の合格だったのかもしれない)
令和元年の試験では、AIに関連する問題が数問出題されたと記憶しています。ITパスポートでは、IT系トレンドからもいくつか出題されるので、参考書などではカバーできない問題というのがあります。
令和元年はちょうどAI関連が注目され始めた年で、ニュースでも何かと話題になっていました。たまたまニュースで知っていたおかげで解けた問題も2、3問あったような。
勉強期間は1か月!実際にやった勉強と教材
私は約1か月ほど勉強して、ITパスポートに合格しました。
この1か月間での勉強方法についてご紹介します。…が、今にして思うと「合格のため」の勉強法としては結構非効率なやり方でした。
良かった勉強法
まずは参考書を読み込みました。
2週間くらいは読み込んだかと思います。何回も何回もひたすら読む。気が付いたことは書き込む。そんな地味で普通な勉強です。
実際に使っていた参考書がこちら。
私が勉強していたときとは表紙が変わり、よりスタイリッシュな印象になりました。
ただの用語解説集ではなく、「たこ焼き屋」のIT戦略を例に読み進めていくことができるので、社会人経験がなかった私でも企業の活動がイメージしやすかったです。
用語を1つ1つ丸暗記するというよりも、全体の流れを掴むことを意識して作られた参考書だと思います。
次に、参考書を読んでもイマイチ覚えられない用語、理解できない用語については以下のサイトで勉強。それを参考書に書き込んでいました。
駆け出しエンジニアの強い味方。ご存知の方も多いでしょう、ピヨ太君のサイトです。
難しい言葉を一切使わない説明と具体例。その用語を理解するための予備知識となる言葉もきちんと説明してくれます。
イマイチだった勉強法
さて、ピヨ太君は知っていた当時の私。
どういうわけかもう1つの神サイト「過去問道場」の存在を知りませんでした(知っていたかもしれませんが、活用していなかった)。
このサイトは無料で過去問演習ができて、解説も非常に充実しています。
いろいろなところで言われていますが、ITパスポートも例外にあらず。というよりもIPAの試験においては、次のような傾向が。
- ITパスポート:過去問とよく似た問題が多い。出題方式は変わらない
- その他試験(午前):過去問と全く同じ問題が多い。出題方式は変わらない
なんとITパスポート以外の試験(午前試験)では、過去問と全く同じ問題が流用されることも多いです。※注意点参照
ITパスポートにおいても、過去問と非常によく似た問題が出題される傾向にあります。ITパスポートにおいても、突破の鍵はやはり過去問演習にあります。
結構無謀。
さて、過去問を一切解いていなかった私ですが、問題演習をしなかったわけではありません。下記の問題集を買ってきて、ひたすら解いていました。
※この問題集自体が悪いわけではありません。
この問題集は頻出用語などを書いて覚えるタイプのドリル。まずは用語を覚えねばと思っていたので、重要用語暗記のために購入しました。
実際に解いてみて。
なけなしの自信は木端微塵に吹き飛びました。
なんて顔面蒼白になりましたが、よく考えればITパスポートの試験は四択問題です。用語を書けなくても、4つの選択肢から正しいものが選べれば合格できます。
ITパスポートを受験するのは、IT知識をしっかり身に着けるため。そういった意味では用語が書けるようになるまで勉強するのも悪くないかもしれません。
しかしITパスポートは範囲が広く、すべてを完璧にしようとするとかなりの時間がかかります。勉強した結果、自信を喪失して諦めてしまうようなことがあれば本末転倒。
2023年4月から基本情報技術者試験が新制度に変わりました。
- 紙試験からCBT方式へと変わり、いつでも受験できる(ITパスポート同様)
- 午後問題が長文読解系から小問解答系へと変更
- 午後問題の出題範囲がアルゴリズムとセキュリティのみに絞られる
このことから、基本情報技術者試験の午前問題においても今後は過去問と同様の問題は出なくなる可能性はあるかと思います。
そうは言っても、おそらく過去問の形式から大きく逸脱することは(今のところ)ないと予想しています。
過去問演習が大事になるという点では変わりはないかと。
まとめ
本記事では、ITパスポートの難易度について、主催元のIPAが公開している合格率と、私が受験した際のスペックをもとに解説してみました。
結論としては、
IT初心者でもIT業界未経験でも、さらには社会人経験0のニート(当時の私)でも、1か月くらい勉強すれば合格できるくらいの難易度!
逆に言えば、たとえIT業界で働いていたとしても、舐めてかかれば普通に落ちることもあり得る。
というものになります。
そうは言っても合格率は約50%。一生懸命勉強していても残念ながら落ちるときもあるかと思います。
「不合格=IT業界に向いていない」というわけではないから、勉強方法を見直しつつ再度挑戦してみよう!
これからも当ブログではITパスポートの対策について記事を書いていく所存。これから受験しようと考えている方にとって少しでも参考になれば幸いです!