狐小路フォ吉の日常

職業訓練校入学試験【4記事目】

プログラミングを学ぶため、職業訓練校への入学を決意した僕であったが、なんとこの職業訓練校は誰でもWelcomeな学校ではなかった。中学生レベルの国語、数学、英語の筆記試験があり、なおかつ面談をするというのである。

僕はさっそくネットで職業訓練校合格のコツを調べた。

  • 国語と英語は範囲が広いので(漢字や英単語など)、今から対策するなら数学がおすすめ
  • 基本的には中学生レベルだが、たまに高校レベルの問題が出ることもある
  • 面談では、クラスの輪を乱す存在であると思われないようにする
  • ところがあまりにもしっかりしていると、「すぐに就職できそうだから学校での勉強は不要」ということで落とされる

こんな情報を得た。

普通の学校や会社の面談では「おっ、この子はいいな、うちにぴったりだ」と思われるのが勝ち筋であるが、職業訓練では出来すぎてもよくないらしい。今すぐにでも就職できそうだと判断されれば学校への入学は許されず、自力で就職活動をするべく鼓舞されてしまうのだそうだ。

僕はこの点に関してはあまり心配していなかった。大学を卒業後一度たりとも働かず、子供部屋にて芸術的思索に耽っていた27歳の僕は、どう考えても「出来すぎた」キツネではないからだ。尖っているタイプでもないので、うまく馴染めない心配はあるが、自ら率先して集団を乱すようなこともあるまい。

もっとも、「先生」と呼ばれるような存在と面談をするという事実だけでも、普段両親以外の生き物と口を利かない僕にとっては高難易度なイベントではあるのだが、それは一度忘れることにした。

問題は筆記である。

1か月後に開校する教室であるから、試験は目前に迫っていた。今から漢字の書き取りドリル等をやっている場合ではない。自信は皆無だが国語と英語は出たとこ勝負でいくしかなかろう。しかし数学に限っては公式などをおさらいしておくことで勝率が変わってくるとのことであった。

僕はすでに中学レベルの数学知識なぞ忘却の彼方である。というより、現役中坊の頃から忘却の彼方であった。つまり、そもそも脳みそに刻み込まれたことなど一度たりともなかったという可能性すらある。

なけなしの小遣いをはたき「中学3年分の数学が1冊でわかる本」というありがたいタイトルの本を購入し、必死に学習した。そのおかげで、平方根の計算ができるようになった。もう忘れたが。

僕のエンジニアライフは、中学校数学の学びなおしから始まったと言っても過言ではない。

一応、「やれるだけのことはやりました」と言える状態で試験当日を迎えた。心臓ばくばく状態で、配られた問題用紙に視線を落とす。

僕は我が目を疑った。

  1. リンゴのスペルを選べ。 1:ringo 2:apple 3:lingo
  2. 0.5 + 0.2を計算せよ。
  3. 「方向音痴」の読み仮名を書け。

内容はちょっと変えているが、本当にこんなレベルであった。

こんなのが全部で10問くらいである。僕の磨き上げた平方根は行き場を失い、その後二度と現れることはなかった。僕の狐生において「圧倒的満点の自信」に満ち溢れたテストは、これが初めてである。

筆記試験を経て、お次は面談だ。

ホッとしたのも束の間で、途端に緊張がぶり返す。どう考えてもこの筆記試験、ここにいるすべての者が満点であろうと思われた。そうなると、この面談こそが本当の試験ではあるまいか。

今回の受験生は25匹ほど。定員は20匹であるから5匹は落とされる計算である。ここで落ちたとて、来月まで待てばまた似たような教室が開校となるが、できれば今回合格してしまいたい。緊張と闘志が入り交じりワナワナ震えていると、面談部屋へと呼び出された。

フォ吉
フォ吉
き、狐小路フォ吉です…!よろしくお願いします…!!
ピンク先生
ピンク先生
よろしくお願いしまーす

非常に恐ろしい風貌のアカギツネ(?)であった。なぜかサングラスをかけていて、あなた、堅気じゃあありませんね…?という雰囲気をふんわり醸し出していた(いや、訓練校の先生なんだから実際には堅気であるはずなのだが)。

ピンク先生
ピンク先生
では、面談を始めます

これが僕とピンク先生との初対面であった。

この出会いの後、僕は彼のもとで学び、エンジニアとなった。

黒縁眼鏡でお洒落にスタバで仕事、相棒は最新のMacBook…とはならず、会社でWindowsPCを裸眼で睨みつけているが。

狐小路フォ吉LINEスタンプ発売中
フォ吉
フォ吉
狐小路フォ吉である

突然だが 僕のLINEスタンプが好評(?)発売中である。

万が一にもこの僕に愛着らしき感情を抱いてくれている方がいらしたら、ぜひ下の画像をクリックしてスタンプをチェックしてみていただきたい。

そして願わくば、あなたのLINEを彩ることができたならば…これほど幸いなことはない。

 

フォ吉
フォ吉
よろしくお願い申し上げる