写真・カメラ

露出補正ってどういう仕組み?簡単そうで奥深い……気がする

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Nicon Z fc
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
明るめに撮ると夕焼けが薄い
Nicon Z fc
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
SSを速くして暗くしてみたら色合いが深まった。同じ構図でも露出が違うと印象が変わる

最近はMモードで撮影するようにしている。「F値もSSも自分で設定したいから」というのがその理由だ。

F値もSSもISO感度も露出補正も全部自分で設定して、なんとなく自分が好ましく感じられる明るさの写真を撮っている。しかしF値SSについては軽く仕組みを勉強したものの、ISO感度と露出補正については全く知らない。

今回は露出補正について勉強してみた。

スマホ撮影
Nikon Z fc(通称カメラ子)の露出補正ダイヤル

「露出=光の量」F値・SS・ISO感度の3つで決められる

Nicon Z fc
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

露出とは、カメラが取り込める光の量のこと。

光をたくさん取り込むほど写真は明るくなり、反対に光が少ないと暗くなる。わりとわかりやすい理屈である。

写真の明るさを決めるポイントは、

  1. F値
  2. SS(シャッタースピード)
  3. ISO感度

この3つ。

F値とは

Nicon Z fc
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
F値はボケ写真を撮る目的でも設定します
F値のしくみ

F値は別名「絞り値」とも呼ぶ。

レンズの中にあって、開いたり閉じたり(絞ったり)することで光の量を調節ことができる機構のことを「絞り」というそうだ。

上図のように、レンズ部分が広くなればそれだけ多くの光を取り込めるので、明るくなる。反対に、レンズ部分が少ししか出ていなければ光を取り込める面積も狭いので、暗くなるというわけだ。

絞り値(F値)に対する混乱が止まらないので整理してみた ひと月ほど前に、晴れてミラーレス一眼レフデビューを果たした。 右も左もわからないどころか左右という概念すらもわからないよう...

SS(シャッタースピード)とは

シャッタースピードは読んで字のごとく、シャッター速度のことだ。

シャッタースピードが速いほど、素早く撮影できる。言い換えれば、光を取り込む時間も短いというわけで、暗くなりやすい。しかし一瞬を切り取ることができるので、動く被写体もブレることなく綺麗に撮ることができる。

シャッタースピードが遅いと、撮影が完了するまで時間がかかる。つまり長い時間光を取り込んでいられるので、明るくなりやすい。いわゆる「ブレ写真」を撮るときも、シャッタースピードを遅めに設定すれば良き。ただし意図せずブレちまう恐れあり。

動かぬ者と震える私【SS(シャッタースピード)奮闘記】 私は趣味でニードルフェルト人形を作っている。当ブログ「はしご座」も、もともとは自分の作った人形たちを紹介する(?)目的で始めた。...

 

ISO感度とは

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NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
暗い水族館でもISO感度を上げたことでそれなりに明るく撮れた

なんですか、ISO感度とは。

暗い部屋で撮影するときも簡単に明るくしてくれるからつい多用してしまうが、詳しい仕組みはまだ勉強できていない。調べてみたところ、非常に難しそうだ。

デジタルカメラでは、レンズから通った光を「撮像素子」に当て、撮像素子がその光を電気信号に変えることで写真を撮っています。「ISO(いそ)感度」とは、撮像素子で捉えるその光の量を数値で表したものです。

よく、“ISO感度を上げる”という言いかたをしますが、それは撮像素子で処理できる光の量を増やす=電気信号が増幅されるということです。単純にISO感度の数値を2倍にすると、電気信号も2倍になります。

引用:Lesson8:ISO感度をマスターしよう

なるほど。光を処理できる電気信号を増やしたり減らしたりすることが、ISO感度らしい。たぶん。

F値やSSって、外側の光を適切に取り込めるようにする設定だったが、そもそも夜の撮影や暗い部屋ではどうするのだろう。そもそも取り込める光が少なければ、いくら絞りを開いても、SSを遅くしても、やっぱり暗くなる。

そこで登場するのがISO感度というわけだ。絞りやSSの機構が実にわかりやすい、いわゆるアナログな感じだったのに対して、ISO感度は「電気信号」などというデジタルの力を前面に押し出してくる。ゆえによくわからないが、無敵っぽい感じもする。

完全理解にはほど遠いふんわりとした理解しかしていないが、今回はこの辺にしておく。この記事は「露出補正」の記事だからだ。

露出補正をすればカメラが決めた適正値から離れた表現ができる

もう一度書く。写真の明るさを決めるポイントは

  1. F値
  2. SS
  3. ISO感度

この3つだ。

じゃあ露出補正ってなんなのだ。露出補正も+3にすれば明るくなるし、-3にすれば暗くなる。思いっきり明るさに関与している。何者か。

結論から書く。

カメラが被写体に合わせてF値やSS、ISO感度などを設定してくれたとき、「ちょっと、思ってたのと違うな~……」というときがある。カメラってわりと無難な提案をしがちだ。

「もっとこう、ガツーンと来るくらい明るくしたい」

「もっとシャープな、闇に浮き上がるような感じで……」

といった要望を簡単に叶えてくれるのが露出補正である。

Nicon Z fc
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
あえて暗めに撮ることで主役が際立つこともあるよね

では具体的にどうやって明るさを調整してくれるのかというと、選択したモードによって異なる。

たとえばAモード(絞り優先モード)なら、F値とISO感度は手動で調整することになるが、SSは自動だ。

最初は適正な明るさ(いわゆる無難な)になるように、SSが自動調整される。このモードで明るさを上げるために露出補正を+1にした場合、カメラはSSを調整して明るくする。

また、Sモード(シャッタースピード優先)で露出補正を-1にした場合は、F値を大きくして(絞りを絞って)暗くなるように調整するというわけだ。

つまり露出補正とは、カメラに任せている設定値の調整を見直してもらって、理想の明るさに近づけるという便利機能なのである。

Mモード(マニュアルモード)で露出補正はできない

ここで気が付く。露出補正とはカメラに任せている設定値に対して、明るさをリクエストできる機能だ。

と、なると、Mモードのときってどうなるのだ?

Mモード(マニュアルモード)では、F値・SS・ISO感度の3つすべてを撮影者が設定できる。つまりカメラに任せている機能がないのだ。

露出補正が有効なのは、プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先の3つのモードです。マニュアル露出モードでは露出補正という機能はありません

そもそも露出補正とは、カメラが判断した適正露出を基準に撮影者が露出を調整することです。マニュアル露出モードだとカメラの判断は露出に一切影響しないので、露出補正という作業自体がなくなります。

引用:一眼レフ初心者必見!露出補正で写真表現力を身につける

な、なんじゃて。

ここ2週間ほど、「ついにマニュアルデビューじゃ~」と得意になって撮影していたわけだが、なんとなく露出補正もしていた。なんの意味もなかったって、こと……?

さっそくNikon Z fc(通称カメラ子)を手に、マニュアルモードで露出補正ダイヤルをいじってみた。……うむ、何も変わらん。

今までのは、自分でF値やSSなどをいじったり、光のあるほうへ移動したりすることで、露出補正が効いていると思い込んでいただけのようだ……。

まとめ

一眼レフカメラには、P・A・S・Mといった四種類の撮影モードがある(呼び方はカメラによって異なる)。このうちM(マニュアル)を除く3つが、F値とSSのいずれかまたは両方をカメラが自動で設定してくれるモードだ。

カメラが自動でF値やSSを設定してくれるのは便利だが、「もうちょっとだけ明るくしたい、暗くしたい」という要望が出ることがある。そんなときに便利な機能が露出補正だ。

露出補正とはを使うことで、カメラに任せている設定値を少しだけ調整することが可能になる。

  • Aモードで露出補正+1→SSを自動調整してさらに明るくなる
  • Sモードで露出補正-1→F値を自動調整してさらに暗くなる

あくまでも自動調整してくれる値をさらに調整してくれる機能なので、たとえばこういった場合には露出補正をしてもうまく反映されない。

  • AモードでSS最速になっている状態で露出補正を-1する→これ以上SSを速くできないので露出補正できない
  • SモードでF値が最小になっている状態で露出補正を+1する→これ以上F値を小さくできないので露出補正できない

さらに、「露出補正=カメラ自動設定の値をさらに調整」であるため、すべての値を撮影者が設定するMモードでは、露出補正はできない。

私はずっとここを勘違いしていて、Mモードで一生懸命露出補正をしていた。「Mモード楽し~↑↑」などと言いながら調子に乗っていたが、恥を書く前に知れて幸いであると思うことにしよう。