ひと月ほど前に、晴れてミラーレス一眼レフデビューを果たした。
右も左もわからないどころか左右という概念すらもわからないような状態で右往左往しているのだが、せっかくの一眼レフ、それらしい写真を撮ってみたい、との思いがある。
一眼レフらしい写真とは何か。
それはボケである。と、言う人もいる。私はカメラを手に入れるまで「ボケ」というものを知らなかった。最初のうちは「写真たるもの、すべてを明瞭に写し出してこそだろう」などと思っていたが、Instagramなどでボケ写真を見るうちにあっさり考え方が変わった。
ボケ、良き。
さっそくボケてみたい。しかしそのためには絞り値(F値)なるものに向き合う必要があった。
F値が小さいほど背景がボケやすくなる
教本によると、F値が小さいほど背景がボケやすくなるらしい。
我がミラーレス一眼レスカメラ、通称カメラ子(Nikon zfc)の場合、F値は最小で3.5になる(標準ズームレンズ装着時)。レンズによってはF値が1.4くらいのものもあるそうで、こうしたものを使用するとボケも加速する(らしい)。
数字が小さいほどボケやすいのかぁ。
などと丸暗記してしまいたいところだが、絞りにはもうひとつの特徴がある。それは、絞り値が小さいほど明るくなるということだ。どういうことだ。
F値が小さいほど明るい写真になる
絞りというものの仕組みについて、教本を引用する。
レンズの中にあり、光を取り込む量を調整する穴のことを「絞り」と言います。この絞りを数値化したものがF値の正体です。
引用:こいしゆうか著『カメラはじめます!』
レンズの中にシャッターがあるらしい。言われてみれば、撮影することを「シャッターを切る」などと言う。何か関係ありそうだが、脱線しそうなのでひとまず置いておく。
F値が小さいほどシャッターが開いた状態となり、光を取り込めるレンズの面積が広くなる。反対に、F値が大きいほどシャッターが閉じた状態となり、光を取り込めるレンズの面積が狭くなる。
なるほどである。
- F値が小さい=光を取り込めるレンズの面積が広くなる=明るくなる
- F値が大きい=光を取り込めるレンズの面積が狭くなる=暗くなる
これは直感的に理解できる。しかしボケについてはどうだろう。
F値が大きいほど遠くまでピントが合う=ボケにくい
- F値が小さい=光を取り込めるレンズの面積が広くなる=ボケやすい?
- F値が大きい=光を取り込めるレンズの面積が狭くなる=ボケにくい?
どうにもしっくりこない。
レンズの面積が狭いほうが主役にピントが合って背景がボケやすいような気がする。そのほうが狙い撃ちできそう。しかし実際には反対である。レンズが露出しているほどボケやすいというのだ。いったいどういう理屈なのか。理科は苦手である。
調べてみたところ「被写界深度」なるものが影響しているとのこと。参考サイトを引用する。
F値が小さいと背景のボケ量が多くなり、F値が大きいとボケ量が少なくなります。このような現象が起こる理由は、F値を上げると、焦点が合う距離(被写界深度)が深くなるためです。その結果、奥までピントが合った写真を撮ることができます。これに対して、F値を下げると被写界深度が浅くなり、特定の部分のみを強調し、ほかの部分をボケさせることが可能です。F値の変え方を理解することで、意図したボケ具合を表現した写真を撮影できます。
F値が大きい(レンズの露出面積が狭い)ときのほうが、より奥のほうまでピントがあうようになるため、ボケにくいらしい。確かに考えてみたら、遠くのものを見たいとき、私は目を細めている。つまり瞼で瞳の大部分を覆っているわけで、カメラであればF値が大きい状態だ。
思春期ゆえの感性から眼鏡を頑なに拒否したあの頃。毎日眉間にシワを寄せて目を細め、黒板を睨みつけていたっけ。嗚呼ノスタルジア。
より遠くまで見るために。その先を知るために。さあ、私をもっと絞るのよ。我がミラーレス一眼レスカメラ、通称カメラ子(Nikon zfc)は語る。
難しいことはわからないが、ひとまずこのイメージを覚えておこうと思った次第。
まとめ
明るさについて。
- F値が小さい=光を取り込めるレンズの面積が広くなる=明るくなる
- F値が大きい=光を取り込めるレンズの面積が狭くなる=暗くなる
ボケについて。
- F値が小さい=シャッターが大きく開いた状態=近くにピントが合う=背景がボケやすい
- F値が大きい=シャッターが少し開いた状態=遠くまでピントが合う=背景がボケにくい
F値が小さいほどピントが合う距離が近くなるので、ボケやすくなる。と、まとめたところで「前ボケ」などという存在を思い出して頭を抱えつつ、本日の学習を終了する。(前ボケについては、またいずれ……)。